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【パナソニック】実は大役を担っているパーソナル食洗器 ×【推しの子】コラボ

パナソニック「パーソナル食器洗い乾燥機(食洗器)SOLOTA NP-TML1」

パナソニック(白物)がまだナショナルだった20年ほど前、食洗器の売上が下がりはじめた時期がありました。そんな時、とある一手で売上を回復させ、縮小市場の中で一人勝ちするに至ったのです。その一手とは何だったのか?——それは、食洗器のアピールのしかたを「家事を楽にする道具」から「子育てを応援する(子どもとすごす時間を長くする)道具」に切り替えたのです。

 


 

※この記事は【推しの子】がキッズたちに大人気になる前につくられた記事です。その後この施策はトーンダウンされ終了しています。

パナソニックは、新発売のパーソナル食洗器「SOLOTA」×人気アニメ「【推しの子】」とのコラボプロモーションを展開しています(今年2023年2月~断続的に施策投下中)。

これ、「人気アニメコラボ」と単純に見ると巷でよくある企画に過ぎないのですが、“長期的なマーケ戦略”という視点から見てみると、なかなか学びの多い施策なのであります。

出典:パナソニック「【推しの子】食洗器」特設サイト https://panasonic.jp/dish/contents/solota/oshinoko.html

 

ところで、このキャラクターのアイちゃんって「ひとり暮らし代表」として広告起用されていますが、じつは双子の子どもをもった母親なのです。

ただ、売れっ子アイドルゆえにそのことは世間にひた隠しにしてるというストーリーです。そんな作中のキャラ背景もちょっとした含みのあるアピールになってていいですね(その点は後述します)。

さらに付け加えますと、彼女はこの作品の主人公じゃないんです。いや、むしろ主人公どころか…という感じなんですが、これ以上はネタバレになるので、ご覧になったことがない方はぜひご自身でご確認ください。

この作品にはじめて触れるかたは、きっとこの広告ビジュアルからうける印象とはだいぶ違った中身の印象を受けるはずです。そして、なぜあえて主人公でもない彼女がSOLOTAのアンバサダーに抜擢されたのか?という点を知る手掛かりにもなってくるはずです。

 

 

ファミリー向けとは少し違う、単身者向けアピール法

話が変わりますが、パナソニックには食洗器ビギナーに購入を促すマーケティングセオリーがあります。それは冒頭でも触れたとおり、食洗器は「子育てを応援する道具(子どもとすごす時間を長くする道具)」であるという点を強調してアピールすることです。

その背景には、家事を楽することへの罪悪感が消費者心理としてあったからだと言われています。食器洗いを家電まかせにする=家事や子育てを手抜きしていると思われるのではないか?という心理があるようです。じつに日本人らしい思考です。

これはナショナル時代にその方針が定められてから20年経った今でも食洗器プロモーションづくりに脈々と受け継がれております。

出典:パナソニック食器洗い乾燥機WEBページ https://panasonic.jp/dish/

 

と、そんななかで気になるのが、パナソニックとしては初となるパーソナル食洗器でどのようなアピールをしてくるのか?というところです。だって、ひとり暮らしならば「子どもとの時間」なんてないわけですから。

…という視点で見てきたところ、全体的な印象としては「忙しい日々のなか、自分時間を充実させよう」という攻め口であるようです。まぁこのあたりは想定どおりかなといった感じです。むしろそれ以外に何があるんだ的な話でもありますが。

ただ、そんな自分時間の中に「趣味の時間」もしっかり含まれているのは特筆すべき点かと思います。つまり、自分自身がやりたいことをやるためにムダな時間(食器洗い時間)を節約しようという論調であり、これはファミリー向けの「子育て応援」路線とはまた少し違ったアプローチのしかたと言えるでしょう。

出典:パーソナル食洗機SOLOTA コンセプトムービー【パナソニック公式Youtube】 https://youtu.be/3AzY09SNemw

 

ちなみに、今回のコラボに付随して、「【推しの子】作業用動画」もYoutubeで配信されております。ここではずっとアイちゃんがソファで雑誌を見ながらくつろいでいる様子が、延々と120分も描かれています。

“作業用”のわりには、動画の中のアイちゃんは全く作業をしていないのですが、つまりはそういうメッセージも含まれているのだと思います。食洗器に家事はまかせて、浮いた時間は自分がやりたいことのために使いましょうよ——ということです。

出典:パーソナル食洗機SOLOTA 【推しの子】食洗機 作業用動画 120分【パナソニック公式】 https://youtu.be/p5qhlFuzWFc

 

 

「シンママ食洗器」はさすがに言えませんので

この作業用動画はともかくとして、作中のアイちゃんは、お仕事(芸能活動)にも、子育てにも、全力で向き合う多忙な姿が描かれています。そして、誰かにまかせられるならまかせちゃえばいいじゃん!!という楽観的かつシンプルな思考の持ち主でもあります。

そんなキャラクターであるアイちゃんだからこそ、この商品のアンバサダーにふさわしいと判断されたのでしょう。

出典:TVアニメ【推しの子】特設サイト https://ichigoproduction.com/

 

多忙だからこそ、家事にかける余計な時間は家電に任せて、その浮いた時間は、プライベートの充実化や自己投資に使いましょうよ——というコンテクストが彼女とのコラボから自然と伝わってくるのです(作品を知っている人には)。

この意識は、まさにこの商品のコアターゲット=20-30代単身男性たちが持っているそれそのものだと思います。

 

さらに言うならば、アイちゃんのようなシンママで、まだ子どもが幼いご家庭なんかもこのパーソナル食洗器で十分フォローできます。そんなシンママたちもこの商品で狙いたいサブターゲット的なポジションでは必ず含まれているはずです。

が、いかんせん「シンママ食洗器」とはさすがに言えませんので。そのあたりはアイちゃんコラボからお察しください…という暗黙のアピールも彼女の広告起用の背景には多少なりあるはずです。

 

 

パナソニックは、その先にある○○を狙っているのです。

パナソニックはこの【推しの子】コラボをとおして、アイちゃんの生きかたや考えかたに共感する20-30代単身者やシンママ(明言はされてないけど)を狙っているんですね!という話をここまでしてきたわけですが、たしかに目先の狙いとしてはそのあたりで間違いないはずです。

しかし、実際のところパナソニックは、そのもう一歩先まで見越しているのです。パナソニックは、その先にある...

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