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【キリンビバレッジ】鳴けぬなら、ほかに鳴いてもらおうホトトギス

キリンビバレッジ「トロピカーナ エッセンシャルズ」

かれこれ25年ほど前、「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ…POISON」というサビの曲(歌:反町隆史)があったんですが、大人になってから知るのです。言いたいことが言えないなら、誰かに言わせる手もあるよ!ということに。それで“解毒”ができるなら、それもアリですね!

 


 

キリンはトロピカーナエッセンシャルズ(ビタミン、ミネラルなどの栄養素が添加されたトロピカーナジュース)のブランドコンセプトワードにちなんで「頑張るあの人へ、栄養のひと休みを届けよう!」キャンペーンを実施しています。

頑張っている誰かを応援したくなったエピソードをSNS投稿すると、抽選でトロピカーナエッセンシャルズ22本セットが当たるものです。テーマにあわせて差し入れとして他者へ送ることも可能とのこと。

なお、「#差し入れトロピカーナ 第1弾」とのことなので、第2弾、3弾と、今後継続的に実施させるキャンペーンであるようです。

出典:キリンビバレッジ「#栄養のひと休み を届けよう!キャンペーン」特設サイト https://cp.kirin.jp/story/25353

 

まずはじめに、このプロモーション施策におけるブランディング上の狙いとしては、ザックリですが「健康にいいジュース」イメージを持ってもらいたいのだと思います。

ただし言わずもがなですが、この手の飲料で健康機能を謳うことは各種法律で厳しく規制されています(景表法、食品表示法、薬機法など)。

本音をいうなら「体調が心配なあの人に、健康ケアできるジュースを贈ろう!」くらいガッツリとキリンはアピールしたいと思うのですが、当然そんな表現をしたら一発アウツでございます。

「栄養のひと休み」という、なんだか雰囲気ではわかるけれど真面目に考えるとどういう意味だ?となるコンセプトワードも、これがこの商品でできるギリギリの法規制回避表現であるということです。

ちょっと意地悪な解釈をすると、まるで「栄養を摂ることをひと休み(やめましょう)」みたいな話にも聞こえなくもありませんが、そんなひねくれた思考回路を持つ人は稀です。むしろ、そんなひねくれ坊主はキリンとて「キミは買ってくれなくてヨシ」くらいで考えていることでしょう。

話が脱線しましたが、健康になにかいいのかも?的なことが“雰囲気でわかる”だけでもしっかり練られた優秀なメッセージといえます。

 

 

企業が言えないことは、消費者に言わすのです

ちなみにこういったエピソード募集型のキャンペーンはよくある手法なのですが、基本的にはそのエピソードはSNSに投稿してもらうのが一般的です。

そうする理由としては、1つにはそのエピソード投稿自体が商品の宣伝になるからです(そんな当たり前のコトいちいち説明すんなって話かもですが、後にもつながるのでひとまず聞いてください)。

つまり、参加者が自ら進んでブランドアンバサダーになってくれるということです。彼らはキャンペーンの景品が欲しくてそのエピソードを投稿するわけですから、もちろんネガティブなエピソードは投稿しませんし、企業側も当然それをわかっているのでSNSというオープンな場でエピソード披露を求めるわけです。

そしてこういったエピソードキャンペーンには、ほかにも重要な狙いがありまして。それは「企業が言えないことを、消費者に言ってもらう」という機能です。

今回のトロピカーナエッセンシャルズのエピソード投稿キャンペーンでは、どちらかというとそちらの役割のほうが大事だと思います。

繰り返しになりますが、企業は商品をアピールをする際、各種法規制により言えることがかなり制限されています。しかし、それが一般人によるただのSNSつぶやきだとしたら話はまったく変わります。法律も、一般人のSNSのつぶやきまでは厳しく取り締まりません(インフルエンサーなど一定の影響力のある人を除き)。

じゃあ、企業が言いたくても言えないことは、一般人に言ってもらっちゃおうよ!という発想になるのは当然といえば当然です。その時に大事なのは、キャンペーンという形でしっかりと景品を付けて、参加者にしっかり忖度をさせることです。すると、あとは彼らが勝手に“いい感じ”のストーリーを投稿してくれますので。

※↓こうやって他者の投稿をサイト上で共有するのも大事な仕掛けの1つです(キャンペーン特設サイトより)

 

 

エピソードを話してもらうことで生まれる○○効果

あともう1つ、このタイプのキャンペーンは企業にとってイイことがあります。それは...

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