読み込み中...

企業の“中の人”たちに寄り添うメディア

【コーセー】2.5次元俳優たちを起用しつつ、あえてそれっぽく見せない事情

コーセー「エスプリーク トリプル ラスティング プライマー」

「女優さん」といわれると女性の俳優さんをイメージしますよね。一方で、「男優さん」といわれるとなぜかアッチ系の方々をイメージしませんか?これもある意味ジェンダーバイアスと言えばそういうことになると思います。ジェンダーレス化ってそう簡単に実現できるものじゃないのです。なぜなら我々の脳ミソにはそういった過去の経験則に捕らわれたコトバや在りかたの定義があるのですから。その“定義”を書き換える作業、それこそが「ジェンダーレス化」といわれている取り組みなのです。

 

コーセーが同社の主力カウンセリングブランドである「ESPRIQUE(エスプリーク)」の化粧下地のプロモーションに男性俳優たちを起用してきました。この取り組みにはちょっと注目しております。

出典:コーセー「エスプリークトリプル ラスティング プライマー」人気俳優3人とスペシャルタイアップ!特設サイト https://www.kose.co.jp/esprique/campaign/specialcontents/

 

昨今、化粧品業界でもジェンダーレス化の流れで男性ビジュアルを活用した商品アピールは当たり前になっています。化粧品売場を見ていても、ここ1~2年でとくに男性を取り入れたビジュアルが増えているのは明らかです。

ただ、それらはセルフ系化粧品コーナー(低~中価格帯の美容部員さんを介さず購入する化粧品売場)での展開であることがほとんどであり、美容部員さんのいるカウンセリング系化粧品コーナーでは依然女性がほとんどで、男性ビジュアルがあったとしてもせいぜい小さなPOPであくまでオマケ的なアピール展開であって、さすがにその“聖域”は保たれていた感がありました。

が、そんななかで、コーセーは前回の記事でもご紹介した雪肌精での大谷くん起用にも現れているとおり、一気にカウンセリング領域でもジェンダーレス化を進めてきている感があります。

 

その背景には、日本における化粧品市場の先行きへの危機感が少なからずあるのは言うまでもありません。

「化粧品の新たな可能性の開拓を~」などというと聞こえがいいですが、そもそもそんな果敢すぎるチャレンジをしなければならないのは、今までどおりの化粧品の客筋や売りかたに固執したままでは「座して死を待つのみ」な状態であるのは、今の日本の人口統計等の推移を見ても明らかだからです。

 

 

2.5次元ヲタマネーを狙うのが第1の狙い

と、そんなコーセーの長期的な戦略に基づいてリリースされたのが今回の男性俳優たち(荒牧慶彦、高野洸、阿部顕嵐)とのスペシャルタイアップ企画なのです。

ところで、この俳優さんたちを「1人も知らないんだけど…」となった方もいらっしゃるんじゃないかと思いますが、この人たちはとある界隈では絶大な人気を誇る超有名俳優さんたちなのでございます。

それは、2.5次元界隈です。彼らはいわゆる「2.5次元俳優」と言われる人たちですね。とくにこの3名はいずれもヒプステ(「ヒプノシスマイク」の舞台版)に出演している話題の俳優さんたちなのであります。
※「そもそもヒプノシスマイクがなんなの?」という方は・・・音楽原作キャラクターラッププロジェクトです(公式説明ママ)といってもピンとこないでしょうから、すみませんがググってください。

出典:舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage特設サイト https://hypnosismic-stage.com/

 

その話だけを聞くと、「よくあるヲタマネー狙いね」と思われがちです。もちろんそこの狙いもこの企画における大きなウェイトを占めているのは間違いないと思いますが、実際の戦略としてはもう少し奥が深そうです。

ちなみにヒプステといえば、全席18,000円と超強気のチケット料金に目ん玉が飛び出ちゃった人たちが続出した、話題の2.5次元ミュージカルです(2023年現在は全席12,000円まで落ち着いてますが、それでもお高め)。

 

そんな高額チケット代にヤンヤ文句言いながらも、飛び出た目ん玉をぶら下げながらちゃんと観劇しにいってるんですから、ヒプステはもとより、2.5次元ヲタたちの底力(出費力)はすごいと思います。

そんな人気の2.5次元俳優たちが起用されていれば、当然そのファンたちはそれを“推し買い”してくれるはずです。

…と、ここまでが第1の狙いです。

 

 

2.5次元俳優だからといって、2.5次元っぽさを出しすぎない理由

ところで、せっかく人気の2.5次元俳優たちとタイアップするならば、もう少し“それっぽく”見せるやり方もあったはずです。が、この展開を見る限り...

この記事のタグ
New posts