TikTokユーザーには、意外と30-40代(とくに男性)も多いといわれていますが、彼らはだいたいROM専です。なにを見てるのかは…まぁそっとしておいてあげましょう。一方で若い子たちは、見ることも投稿もどちらも楽しみます。となると、投稿から投稿を連鎖的に誘う「ハッシュタグチャレンジ」がどの層に最適かは明白です。また、その“誘いかた”にもいろいろ手立てがあるのです。
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キットカットがピコ太郎とコラボしたTiktokプロモーション「#キットカットチャレンジ」を開催しています。あのお馴染みの「PPAP」のアレンジバージョンにあわせて踊り、ハッシュタグつけて投稿してね!という、いわゆるハッシュタグチャレンジ企画です。
出典:ネスレ「キットカットよくばりダブル」特設サイト https://nestle.jp/kitkat/yokubari-w
内容としては、TikTokの「デュエット機能」を活用し、ピコ太郎動画と掛け合いができるというもので、交互に踊ってしゃべってキットカットのオススメの味の組み合わせを紹介する形になっています。
ちなみにTikTok「デュエット機能」とは、他ユーザーのTikTok動画に自分の動画を並べて投稿できる機能です。二分割された画面で他のユーザーの動画とデュエット歌唱したり、シンクロして踊ったりできるもので、TikTokユーザーたちにとってはおなじみの機能であります。
出典:TikTok「#キットカットチャレンジ」ページ https://vt.tiktok.com/ZS8fPM5Cm/
今回のチャレンジで投稿されている動画たちでは、美顔エフェクトがっつりな子たちが、キレがいまいちなダンスや、口と声がズレてるアフレコに、キメポーズもピコ太郎とまぁまぁズレていて、じつにTikTokらしい風味があります。
なお、そのパフォーマンスのイマイチさをまったく否定するつもりはなく、むしろそれこそがTikTokならではの文化なんだと思っています。もちろん中にはプロ顔負けのハイパフォーマンスを披露する人たちもいますが、そういう人たちと、素人丸出しな人たちが入り乱れて1つの文化を形成しているのです。
誰もがゆる~い動画を、ゆる~い気持ちでアップして、ゆる~く誰かに見てもらいたい。つまるところ「ネットでお遊戯会」…これがTikTokの本質なわけです。そこにパフォーマンスの完成度を求めるのは無粋です。子どもたちのお遊戯会の演技に、本気で口出す人はいませんよね。
ハッシュタグチャレンジ自体は、かねてから企業が取り入れてきていたTikTokを代表するプロモーション手法といえますが、今回はそこに「デュエット機能」を組み合わせてきているところが、ちょっと珍しいスタイルであるようです。
従来は、企業側は音源、振り付け、エフェクトなど、各ユーザーに自分自身の動画を撮影してもらうための“素材の提供”が主だったわけですが、今回は企業側のアンバサダーであるピコ太郎との掛け合い動画がつくれるというところがポイントです。
今まであったハッシュタグチャレンジの多くが、「マネしてみたい」気持ちをトリガーとさせるものであったのに対し、このチャレンジは「あわせてみたい」気持ちに訴えかけるのが狙いといったところでしょうか。
一方で、従来のチャレンジ企画よりも、いくぶん企業の広告色が強く出ている感じがします(広告色はできるだけ隠すのがこれまでのセオリーであったのに対して)。そういったTikTokの次の活用法を探る試験的な意味合いもあるように見受けられます。
そんななかで、やたら視聴ユーザーたちが食いついていたのが、TikTokインフルエンサーたちの「声」です。
なかでもフォロワー数340万人を抱える有名TikToker・メラニーちゃんのコメント欄は「声初めて聞いた」「声可愛すぎ」と、動画の主題そっちのけでそちらのほうが盛り上がりまくっている状況です。
それもそのはずで、ダンスなどのボディパフォーマンスを中心としたTikTokerたちの多くは、基本的に自身の声を入れないことが多い(というか音源にあわせた口パクもそのパフォーマンスのうちである)ので、彼女らの生声が聞けるというのはかなりの“プレミア演出”であるようです。
つまり、そんなプレミア演出が聞けるというだけでも、拡散を誘うキッカケになってくれるはずです。その点をうまく組み込んできているところも1つの注目すべきポイントかなと。
そんなこんなで今回のこの企画はなかなか好調に推移しているようです。開始約2週間程度でハッシュタグ視聴総数5,000万回を突破しています。
ただしその一方で...