「あの頃はよかったなぁ…」なんて話をする人って、今から10年先の未来には「10年前はよかったなぁ…」とか言ってそうじゃないですか。ではその人を、その人がよかったと言っている過去の時代にタイムリープさせたらなんて言うでしょうか。「あれ、こんなもんだったっけ…」だと思います。そんな人間の心理現象を活用したプロモーションの話です。
出典:和久井健/講談社「東京卍リベンジャーズ」
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資生堂が「スノービューティー」シリーズの10周年を記念して、Twitterフォロー&引用RTキャンペーンを開催しています。
スノービューティーとの出会いや、お気に入りだったアイテムなど、思い出のエピソードをつけて投稿する内容のようです。
出展:資生堂「スノービューティー 10周年記念キャンペーン」特設サイト https://www.shiseido.co.jp/sb/10th_campaign/
このSNSで思い出を語ってもらうという行為には、ベーシックな効果である「周知効果(情報拡散効果)」以外にも、主に3つの効果が期待されます。
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- さりげないオススメ効果(ウィンザー効果)
- 自己暗示効果(過去美化バイアス)
- ○○機能
1つめの「さりげないオススメ効果」については、当事者よりも第三者から得られた情報のほうが信頼しやすいという、行動心理学(行動経済学)で言うところのウィンザー効果を応用したものです。
この施策では、直接的に誰かにオススメをするという行為はしていないのですが、周囲の人が「昔から愛用していますぅ~」と話していたら、それを見た人はどう感じるでしょうか?ということです。間接的ではありますが、十分すぎるくらいにオススメ口コミ効果を発揮するはずです。
2つめの「自己暗示効果」は、人間は過去の記憶を美化しがちという特徴=過去美化バイアスを活用したものです。商品との思い出の記憶を引き出すと、だいたいが当時の評価よりも良い評価に変換された状態で呼び出されることになります。
その美化された記憶を、SNSに投稿するという行動をとともにあらためて意識させることで、記憶に再定着させられます。結果的には自分自身で暗示をかけているような状態になるのです。
そして3つめです。これは消費者側からはあまり意識されづらいポイントなのですが、企業側(の中でもとくに...