うまい話にはウラがある——とはよく言われることですが。こと企業活動に関しては「自社の利益のために」というウラはあって当たり前です。企業活動は慈善活動ではないのですから。その中でもとくにプロモーションに関しては、ウラのウラのそのまたウラまであったりすることもザラです。ときに人はそれを「営業ノウハウ」や「マーケティング戦略」と言ったりもします。

ここのところ、家電系の売場では「購入前チャレンジ」をあちこちで見かけるようになりました。文字どおり、購入前に抽選をおこない、当選した等級のキャッシュバック額を確認したうえで購入検討ができるというものです。
▼ソニーヘッドホン「購入前ロトチャレンジ」

出展:ソニー「もうハズさないストライクアウトCP」特設サイト https://www.sony.jp/headphone/campaign/2022_strikeout/
▼REGZA「購入前スクラッチ抽選」キャンペーン

出展:REGZA「これがリアルだ! FIFAワールドカップカタール2022を見るなら断然レグザ!」キャンペーン特設サイト https://www.regza.com/cpn/2022fifa
このタイプの施策が普及した大きな要因に、複数回応募などのズルがしづらくなったことが挙げられます。そのズルを防ぐ障壁になっているのが「LINEアカウント連携」です。
LINEの新規アカウント作成にはSMS認証などの鉄壁の不正防止策をクリアしなければならないので、フリーメールなどでも簡単に作れてしまうメーカー独自の会員アカウントとはわけが違います。こんなキャンペーンのためだけにLINEアカウントを新規作成するなど到底ワリに合わないコストがかかるところがキモです。
案の定、上記2メーカーのキャンペーンもLINE連携が必須になっています。

出展:ソニー「もうハズさないストライクアウトCP」特設サイト https://www.sony.jp/headphone/campaign/2022_strikeout/
ところでこれらのキャンペーン。もともとそのメーカーの商品を買う予定だった人が高額キャッシュバックを当ててしまったら、メーカーとしてはフツーに損するだけじゃない?と誰もが思うはずです。
そのとおり、その点だけにフォーカスするならば、単純な機会損失になるかと思います。ただ、もちろんながらメーカーの人たちもバカではありません。これらの施策にはしっかりと“損して得とれ”のメカニズムが仕組まれているのです。
主要なものとしてザックリ3つのメリットがメーカーにはあります。
そのうちの1つはLINE連携による友だち獲得です。このメリットについては説明するまでもないと思いますので今回は割愛し、ほかの2点をご紹介します。

2つめは、客単価つり上げ効果です。この効果は、実際に購入検討する中でこのキャンペーンに応募した人ならば、ほとんどが「あ~、なるほど」とその狙いに気づいたことかと思います。
例えば、対象商品がハイスペックモデルであったり、テレビならばサイズアップ検討させたり、ヘッドホンならば2個購入を検討させたりと、「ここまでの機能はなくていいや」「これくらいのサイズでいいや」「1個あれば十分」と思っていた人たちに、ランクアップさせた購入を検討させる仕掛けが組み込まれています。
ランクアップさせれば、おのずと金額もアップします。だいたいの場合、そのランクアップさせた分の差額でキャッシュバック分が回収できてしまうパターンが多いです。まさに“損して得とれ”です。
また、家電類はそうそう頻繁に買い替えたりするものではないところも大きいです。1度購入したら次の購入は何年後になるかわかりません。この希少なタイミングで購入額をつり上げるメリットはほかの業界よりも大きいといえます。

3つめは、今回の例に挙がっているソニーやREGZAなどの大手家電ブランドであれば十分なメリットがある内容です。それは...
