KFCのコーポレートスローガン『 FINGER LICKIN' GOOD. 』って、コロナ禍中は世界的に自粛されていたようですが、それ以前から日本ではトーンダウンされていました。
「指ナメしちゃうほどうまい!」って、すごく情景再現力とシズル感のある表現ですが、日本人の食の風習的に少々はしたない行為にも見えてしまいがちです。そんな文化的土壌の違いがこのトーンダウンの背景には少なからずあるのだと思っています。
サントリーが、ジムビーム×ケンタッキーフライドチキン=「#ジムタッキー」プロモーションを展開しています。ウィスキー角瓶で「ハイカラ(ハイボール×からあげ)」プロモーションを成功させたサントリーによる水平展開型プロモーションです。
「アレコレ語らずとも魅力わかるっしょ」というハイカラプロモーションで一貫されていたシズル感重視の見せかたがしっかり踏襲されており、見ていて安定感があります。胃袋にグッときますね。
サントリー公式Youtube|ジムビーム「今日、ジムタッキーにしない?篇 57秒 賀来賢人」 2023/05/22
このYoutube「#ジムタッキー」動画の構成を見て、個人的に「そうそう。そうですよねぇ~」と共感させられたのが、両ブランドの共通点=米国ケンタッキー州生まれというポイントをサラッと流す程度で扱っているところです。
マーケ屋や広告屋の多くがついつい罹りがちな“理屈コネコネしたい病”をグッとこらえてオマケ程度の紹介にとどめています。これ、その病にかかった人たちがつくっていたら「#ケンタッキー州コンビ」みたいなネーミングになっていたことでしょう。その訴求、消費者にとってどんなバリューがあるのよ?という話です。
とはいえ、さすがに「言わない」まではこらえられなかった模様。せめてちょっとでいいから言っときたいキモチも、それはそれでイタイほどわかりますし、それくらいなら全然アリだと思います。「ケンタッキー州つながりだから相性バツグン」は一部の消費者層(たとえばウンチク語りたいマンなど)には刺さりそうですし。
出典:SUNTORY公式Twitter https://twitter.com/suntory/status/1660465506380550144
ところで、このジムビーム×KFCコラボって、動画内で賀来くんが言っているとおりに「たまたま賀来賢人CM出演つながり」で実現したコラボなんでしょうかね?
そのあたりは、むしろ逆であると読んでいます。つまり、まず先にこのジムタッキーコラボ構想ありきで賀来くんが両社の広告キャラクターとして起用された可能性です。
たしかにジムビーム起用(昨年2022年3月)と、KFC起用(昨年2022年5月)というタイミングだけ見るとそんな気もしなくもないです。
ただ、賀来くんはさらにその1年前(2021年3月)からジムビームの「ハイボール缶」の広告キャラクターとしては起用されていたわけだし、そもそも両社での起用から1年経過した今になってやっとコラボプロモーション始動ってさすがに遅すぎじゃない?と考えると、考えすぎかなぁ…ともなるのです。
やっぱりたまたまなのか…?となりそうですが、次の2つの条件を当てはめてみると、あながちそれらの「ジムビーム先行」や「1年経過」も、あえてそうしたんじゃないかと思われるのです。
- 信憑性問題
- コロナ問題
1はシンプルです。賀来くんをキャラクター起用してすぐにコラボをはじめてしまうと、コラボありきの動きがバレバレになってしまうからです。そうなるとせっかくのジムタッキー提案も魅力半減です。
あくまで、「偶然わかってしまった最高の組み合わせ」というシナリオがあったほうが魅力的に伝わるのは言うまでもありません。そのためには1年間“寝かす”ことでその自然さを演出するのも大事な熟成期間と言えます。
出典:SUNTORY公式Youtube https://youtu.be/zqd-glyp8s4
2つめの「コロナ問題」、こちらのほうが重要です。
と、まずその前に、フツーに考えたらコロナ問題とこのジムビーム×KFCコラボ施策はとくに直結するようなことはないと思います。コロナ禍であったって自宅ではいつもどおりお酒を飲んでたわけですし、KFCだってテイクアウトすればコロナなど気にせず食べられました。さらにそもそもですが、店舗での飲食もできていたのですから。
じゃあ、なぜコロナがこの施策に関係してくるのか?それは...